2005年08月29日

拗れて喚いて、それから?

すいません、リハビリSSSです…
どうにも本調子に戻れません。
これは『amnesia』のその後です。


では、どうぞ。










こんなに、怒った事は……正直、無い。





「何やってるんですか!」

祐巳はその場面を見て、叫んでいた。
叫ばずに、いられない。
だって…だって…!

「…祐巳…ちゃん…?」

祐巳はツカツカと進んで行って、呆然と見上げる聖さまの腕を掴んだ。

「何やってるんです!なんで…!」

それは、真っ赤になっている包帯で。
そこからは、血が滴り落ちていた。



  †



数日前。
高等部2年まで、聖さまの記憶が遡ってしまった時。
聖さまは古い温室のガラスで手を怪我した。
何故、どうして…は、祐巳には解らない。

…ただ…医務室から薔薇の館に戻った時、瞳子ちゃんの顔色が良くなかった。

「祐巳さま…聖さまのお怪我は…病院へは…」
「そんなに深い傷じゃなかったから、だから大丈夫だよ。蓉子さまが一緒だから、もし病院へ行くならきっと…」

そう。
蓉子さまが一緒にいた。
あの時の聖さまは、蓉子さまをとても頼りにしていたから。
聖さまは祐巳から離れようとしていた。
でも、蓉子さまには…

あの時、祐巳は本当に寂しくて悲しかった。
それを瞳子ちゃんに云いながら…どうしようもなかった気持ちだった事を、今でも覚えている。

結局、聖さまは病院へ行ったのかは解らないままだ。
その翌日は蓉子さまからは、ただ『聖は聖のお姉さまに会いに行った』とだけ聞かされたし。

それを聞いたあと、祐巳はみんなより先に薔薇の館を後にして、聖さまのマンションに行った。
祥子さまが…それを良しとは思っていなかったのは、解っているけれど。
寒い中、聖さまが帰ってくるのをずっと待っていて、帰ってきた聖さまは祐巳を見て驚いた。
それから怒り出して…抱きしめられた。

…そして、聖さまの『時間』が戻った。
まるで張り詰めていた風船が割れるように。
ううん、まるで今まで引いていた波が押し寄せるかのように。


けれど…その後のゴタゴタで、完全に忘れ去られてしまった…聖さまが傷を負っていたことを。





「なんで…!なんでこんな…!」

祐巳は聖さまの手を取りながら自分の莫迦さ加減に苛立ちながら、そして情けなくなった。
涙が溢れてくる。
どうしてこんな大事な事を祐巳は忘れてしまった居たんだろう。
何より聖さまの事なのに。

『どうして』しか頭に無くなってしまう。

「落ち着いて、祐巳ちゃん」

聖さまが苦く笑っている。
何故笑えるんですか!
祐巳はキッと聖さまを見る。

「…っ」

傷からは血が滲んでいる。
確かに、もう治まっているのかジワリと滲んでくるくらい。
でも、それは血を拭っているからで、そのままにしておけば滴り落ちるほどに血は溢れているに違いない。

「祐巳ちゃん…」
「病、院…」
「へ?」
「だ…から…っ…病院…っ」

傷を押さえるためのガーゼを、と救急箱を取りに行こうと立ち上がり掛けて、それが聖さまの真横に置かれている事に気付く。
救急箱を奪うように引き寄せて蓋を開いて、祐巳はガーゼを取り出した。

「これで…押さえて…っ」
「落ち着いてってば、祐巳ちゃん」
「落ち着いてなんか、いられません…っ!」

痕が残ったらどうするんだろう。
綺麗な、白い手。
絶対、痕なんか残って欲しくない。

「落ち着きなさい」

聖さまが、祐巳の手を握ってまっすぐに目を見据えて云った。

その声に思わず体の動きが止まった。
有無を言わせない声って、こんな声なんだろうか。
祐巳は聖さまの声に動けなくなってしまった。

「いい子だから、落ち着いて、よく見て」
「…え」

傷を見せられて、祐巳は目を見開く。
確かに滲んでいた血も、滲んでいなくて。

「血なんか、出てないでしょ?」

そう、血は出ていない。
祐巳は聖さまの手をとって傷を見る。

「…ほんと、祐巳ちゃんってば可愛いよね」
「せ、聖さま…?」

聖さまがテーブルに手を伸ばして何かを手に取った。
そしてそれを祐巳に手渡した。

「……へ?」

そ、そういえば…この匂い。

「慌てんぼうさん」

ピン、とおでこを人差し指で弾かれた。
かくん、と祐巳は項垂れる。
自分が信じられない。
でも、聖さまのお部屋に伺って、鍵を開けてもらって、先に行ってしまった聖さまを追い掛けて入ったリビングで最初に目に飛び込んできたものが真っ赤な包帯。
もう、祐巳の頭ん中は真っ白…いや、真っ赤だった。

でも。
ホッとしている自分が居て。
よかったって、なんでもなくて、よかったって。
そう思う祐巳が居る。

目が潤んでしまうくらい、驚いて、心配して、腹が立って。
目が潤んでしまうくらい、驚いて、安心して、ホッとした。

良かったって思う。

だけど…しばらく祐巳はトマトジュースの缶を見たくないなって思ってしまうのは、仕方が無いと思う。




20050829
posted by 松島深冬 at 07:53| ☁| Comment(6) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月20日

travels

久々です。
ちょっとリハビリっぽいでしょうか。


では、どうぞ














巡る星の意味さえ知らずに いつかこの目が閉じられる
たとえば1日だけでもいい 旅が長く続きますように
あなたとずっといられますように







「きちんとお祖父ちゃんにこの一年の事、報告した?」

帰り道。
お父さんが運転する車の中でお母さんが助手席から後部座席を振り返り、子供たちに云った。
お祖父ちゃんが亡くなってから、お盆にお参りに行った帰り道、必ずお母さんは祐巳と祐麒にこう云う。
それに祐巳と祐麒はまるで双子のように頷く。
これが毎年の福沢家の光景。



お祖父ちゃんの墓前で手を合わせながら、祐巳は思っていた。
前に、読んだ本。
それには、亡くなった人は千の風になっていつでもそばにいてくれるのだとあった。

風に、光に、雪に、鳥に、星に…
自然に姿を変えて、そばにいてくれるのだと…


きっと、お祖父ちゃんは祐巳のそばにも居てくれているんだろうって思う。
そして、お祖母ちゃんのそばにも。
お母さんや、お父さん、そして祐麒のそばにも。

お祖父ちゃんを大好きだった人のそばに。
お祖父ちゃんが大好きだった人のそばに。

だから、祐巳は綺麗にしたお墓と、そしてそばにいてくれているだろうお祖父ちゃんに心の中で呟いた。

これからも、見守っていてね…と。




そして、ほんの少し、寂しい気持ちになった。




小さ過ぎて、なかなか理解出来なかった事が、今ではもう当たり前のように理解出来て。

寂しくて、悲しかったのに、いつの間にかそれが日常に成り代わる。
当たり前のように、影膳に手を合わせる。
でも以前のような寂しさも悲しさも、薄れてしまって。

それが日常になっている。

そうしなきゃ、生きていくのも大変なんだって解っているけれど…


傘立てには、今もお祖父ちゃんに買って貰った青い傘がささっている。
傘の柄には『リリアンじょがくえん ふくざわゆみ』。
お祖父ちゃんが針で傷をつけて、そこに白のクレヨンを塗り込んで、それを拭き取ると文字が浮き出た。
そうして付けられた名前のお陰で一度祐巳の手から離れた傘は、祐巳の知らないところで知らない人に会って、知らない土地まで行って、そうして祐巳の手に帰ってきた。

傘は…帰ってきた。

だけど、傘をくれた…名前を刻んでくれたお祖父ちゃんには、もう二度と会えない。




…どうして、こんなに感傷的になっているのか、祐巳にも解らない。
ただ、無性に聖さまに会いたい…そう思っていた。

『お墓参り?…ああ、お祖父さまのだね。気をつけていってらっしゃい』

先日の別れ際、そう云って聖さまは祐巳の頬を軽く抓った。
その時の笑顔がとても静かな笑顔で、祐巳の心に焼き付いていて。
きっと、聖さまに会うまで、その笑顔は祐巳の心に焼きついたままなんじゃないだろうか…なんて思っている。

ただ、ちょっとだけ離れただけ。
携帯でメールだって出来る。
話そうと思えば、そのまま掛けたっていい。
それなのに。




「…祐巳?」

名前を呼ばれて、いつの間にか俯き加減だった顔を上げると、祐麒がちょっと眉を寄せて祐巳を見ていた。

「何?」
「…いや。寝るなら寄り掛かってもいいから」

不機嫌そうに云う祐麒に怪訝に思う。
そして、『あれ?』と思う。
どこかで、こんな祐麒の顔を見た気がした。

…ああ、祥子さまと云った別荘でだ…
日傘を届けてくれた祐麒が、今みたいなちょっと不機嫌そうな顔で祐巳を連れ出したんだっけ。
きっと、祐麒には今の祐巳の鬱屈した気分がわかってしまったんだろうって気がついた。

…そっか。

祐巳はふぅ、と息をつくと少し祐麒の方に近付く。

「肩、貸してね」
「…ああ」

眠っていよう。
眠っているうちに、着くだろうから。

お父さんが設計した、大好きな家に。
聖さまもいる、東京に。







―― 人生ってさ、長い長い旅なんだって。

聖さまの声が、云った。

それは、いつだったか…聖さまのお部屋にお泊りするようになったばかりの頃。
お部屋の中を茶色にして、ちょっと大きな聖さまのベッドで向き合っていた時。
ふと、思い出したように聖さまが云った言葉だったはず。

―― 生まれてから、死ぬまで。それはひとつの長い旅なんだって。

そう云った聖さまが、優しい瞳で祐巳を見る。
祐巳は、あの時なんて返事を返したんだろう。

―― 長い旅の中で、いろんな人に出会って…いろんな人と別れて…そうして旅を終える時。『ああ、良い旅だった』って思える人生って素敵だよね。

あの時は、聖さまのこの言葉を聞いて、ただ笑顔で『そうですね』と云ったけれど…
お祖父ちゃんは、そう思えたのかな、なんて思ってしまった。
良い旅だったかなって。
そう思える人生だったのかなって。


―― 何云ってんの。

聖さまが、呆れたように云った。

あれ?
あの時、こんな風には…

―― 祐巳ちゃんのお祖父さまは幸せだったに違いないでしょ。だって、祐巳ちゃんのお祖父さまなんだから。

ベッドは消えていて、聖さまはそこに立っていて。
いつものように祐巳を優しく見下ろしている。

手には、あの青い傘。

―― 祐巳ちゃんの事を可愛がってくれていて、こんな風に祐巳ちゃんの事を考えてくれていた優しいお祖父さまならね。

あの、刻まれた名前を指で撫でて、そして傘を祐巳に手渡してくれる。

―― 幸せで、良い旅でだったと私は思うよ?

そうでしょうか、聖さま。
お祖父ちゃんは、良い旅だったんでしょうか。
祐巳のお祖父ちゃんで、良かったって。

勿論、と聖さまが微笑む。


…都合のいい夢だって、解ってる。
でも…聖さまなら、きっと嘘は云わないって…祐巳の夢の中の聖さまだからって、嘘は云わないって何故か思ってしまう。

聖さま。
聖さまは?

聖さまも、まだまだ旅の途中ですけど、祐巳に会えて幸せですか?
祐巳は、これからもずっと、聖さまと一緒に旅を続けたいです。

叶うのなら…ずっと、ずっと。




「…み、祐巳、起きろよ」
「んぁ!」
「よだれ」
「へぁ!」

慌てて祐麒の肩から頭を上げると、そんな事を云われて思わず口元に手をやる。

「嘘」
「祐麒〜ぃ」

と。
窓の外に目をやると、見慣れた風景ではあるけれど、でも祐巳の家ではなくて。

「あ、あれ?」

まだ寝ぼけているんだろうか、と目をこする。
でも、その風景は変わらない。

「何寝ぼけてんだよ。ほら、お土産忘れんな」
「え?祐麒?」

お土産の入った袋を祐巳に押し当てて、呆れたように笑う。

「佐藤さんによろしく云うのよ?それと、これはお母さんからのお土産ですって差し上げてね。じゃああまり遅くならないように。明日からは山百合会のお仕事があるんでしょ?」

お母さん?
佐藤さん…って…

「オレが云った。いいから、早く降りろ祐巳」
「え、あ、うん」

車から降りてドアを閉めると「じゃーな」と祐麒が云い、車が滑るように走り出す。

右手にはお母さんからのお土産。
左には、祐巳の。

やっと脳神経回路が上手く繋がって、祐巳はエントランスへ小走りに入ると、インターフォンを押す。
眠ってる間に、祐麒がお母さんに云ったんだろう。
帰ったら、肩もんであげよう。
きっと祐巳の頭を支えていて肩が凝っているに違いない。

スピーカから、大好きな声。
きっと祐巳の声に驚いたように鍵をあけてくれるだろう。





20050820

posted by 松島深冬 at 08:52| 🌁| Comment(2) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月11日

もう少しだけ

久々に、単発。
気晴らしに書いてみたものです。
基本に帰ってみました。


では、どうぞ










いつからだろう
私はこんなにも怖がりになってしまってた
大切すぎる不自由を手に入れた






ぼんやりと、私は私の隣を見つめる。
私にほんの少しだけ、寄り掛かるようにして座っている。
もっとしっかり寄り掛かってもいいのに。
でも、彼女はまだ、そこまではして来れないでいる。
躊躇いがあるのか。
戸惑いがあるのか。
…気を許してはいないのか。

体重全てを預けてくることはなく、ほんの少しの触れあい。
体の重みはほとんど感じず、感じるとしたならば、その温もりだけが僅かに感じられる程度だ。

別に、今さっきどうこうなったような間柄でもない。
けれど。
私はまだ、一定の距離を彼女に感じてしまっていた。


「あ、あの?」
「ん?」

読んでいた雑誌から顔を上げてちょっと小首をかしげて私を見る。
そして、意を決したように声を掛けてきた。

「…あの…ですね」
「何?」

困ったような、顔。
私は彼女のそんな表情がとても好きだ。
たくさんの、彼女を『好き』の中のひとつ。

「さっきから、どうして私をジッと見つめているんです?」
「そりゃ…」
「そりゃ?」

不思議そうに私を見る目が、ひどく愛おしい。
言葉を発する唇も、柔らかそうで食べてしまいたいくらい。

「……ナイショ」

ニッと笑みを浮かべて、私は云う。
するとその目はまあるく見開かれて、次にキッとまなじりをあげる。
怒っている顔なんだけれど…でも全然迫力なんかない。
不服そうに尖る唇も、ただただ可愛い表情。

「また何か企んでいるんですね?」

騙されません、とでも云いたげな目に『心外』だとでも云うように肩をすくめて見せる。
だって、云えるはずがないじゃない。

どうすれば、私に近付いてくれるか考えているなんて。
どうすれば、気軽に触れられるか考えているかなんて。

云えば多分、呆れた顔をするに違いない。

だって、あれだけ背後から抱きしめた。
嫌がってもすぐには逃がさなかった。
ほとんど日課のようだった高等部三年の後半。
その姿を目に映したら、私はまるで忍者のように気配を消して近付いた。
そして、これでもかと抱きしめていたんだから。

それがどうだろう。
触れる事に勇気がいる。
どう触れようか、考えてしまう自分が居る。
気軽に手を伸ばす事も出来ない。
別に、彼女は以前と然程変わっていないはずなのに。

…いや、違う。

彼女の目が、フッと和らぐと、次に何処か遠慮がちに私を見ている。
「もう、知りません!」と云って雑誌に目を落としたのに。
でも、彼女の目は、私を窺っている。

私を意識して、私の行動に落ち着かなさ気に肩を揺らして。
以前の彼女と違う、雰囲気。

同じ『私を気にする』行動を取っていても、その意味合いは全く違うから。
あの頃は、『また羽交い絞めにされるんじゃないか?』とか『お姉さまの前では勘弁してほしいな』とかその程度。
…あの頃の彼女の世界の中心は、お姉さまの祥子だったから。

でも、今は違う。
その視線が『私』を気にしている。
その仕草が『私』を意識している。

…私は、そんな彼女に不自由になる。




私は、知っているから。
強い強い想いがある事を。
そして、それを失うことのどうしようもない絶望も。

だから今、彼女を失うことが恐ろしい。
必要以上に求めて…強く強く求めてしまって、彼女を怖がらせることになりはしないか?
私の強い想いに興醒めして、離れていってしまうのではないか?

私は、私をがんじがらめにしてしまう。



「…聖さま」

そっと、名前を呼ばれて私は顔を上げる。
知らず、俯いていたらしい。
目を彼女に向けると、少し寂しそうな、それでいて怒ったような顔。

何か云いたげ。
けれど何を云って良いのか判らないというように瞳を揺らしている。
でも、決してその目を私から逸らそうとはしない。

思わず、『この子はなんて強い子なんだろうな』と思う。
どうしていいか判らなくても、決して逃げない。
その目に、惹かれるように私はその私より少し小さな体に腕を回した。

出来てしまえば、『こんな簡単なこと』。
ちょっと手を伸ばせば良いだけのこと。
調子に乗って、私はその頬に手を掛けると唇を寄せていく。

「ちょ、ちょっと待って聖さま!」

慌てたように私の胸を押す、弱いけれど有無を云わせぬ腕の力に顔をそこでストップ。
至近距離に、まつげさえ触れ合いそう。
そんな距離で、彼女は「待って」という。

「…さっき、どうして私をジッと見ていたんです…か?」

そんなに気になるほど、私は彼女を凝視していたんだろうか…と少し気恥ずかしい。
でも何処か不安げな彼女に、私は茶化すことは止しておこうかと思ってしまう。
…だからって、真実そのままに告げることも恥ずかしい。

私の事は、棚のうえにあげてしまおう。
たとえ、すぐに棚から下ろして向き合わなくてはならないとしても。

「祐巳ちゃんが、いつになったら私に気を許してくれるのかなってさ」
「え…」
「祐巳ちゃんから、お口にちゅうはいつになったら躊躇なく戴けるようになるのかなーっ」

彼女は一瞬、不思議すぎるような目をして…次の瞬間これでもかって云うくらい真っ赤になった。

いい反応だなって思った。


「好きだよ、祐巳ちゃん」





君が好きで、大事だから…私はがんじがらめに不自由になる。



20050811

『travels』川村結花
posted by 松島深冬 at 03:34| 🌁| Comment(8) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月07日

恋とは苦く甘やかなもの・5

『妹オーディション』聖祐巳フィルタver.続きです。
…不発気味ですが、今の私にはこれが精一杯…

あれ?今回は聖さま台詞無しですか(笑)
黄薔薇姉妹活躍中…って江利子さまと由乃さんだけだけど(苦笑)

では、どうぞ。










  5




由乃さんを迎えにトイレへと向かいながら考えを巡らせる。

江利子さまは、由乃さんに何を聞いたんだろう。
妹は出来ていないんだし…

江利子さまという人は、ある程度ご自分が納得のいくものを提示されなければ何処までも質問してくるお方だと祐巳は思っている。
…あの、黄薔薇革命の時、浦島太郎だった江利子さまは薔薇の館で祐巳を質問攻めにして下さった。
他の方は…逃げた。
いや、それでは言葉が悪すぎるかもしれないけれど…でも。
だから、その江利子さまがあのように楽しげな表情を見せるのは、余程納得のいく答えをもらったか、江利子さまの想像よりも更に奇想天外…予想外な答えをもらったという事なんだろうか…

一体、由乃さんは江利子さまに何を云ったんだろう…?






江利子さまの云う通り、由乃さんはトイレの前にいた。

ぼんやりとしていて、由乃さんの真正面から歩いていったのに全く気付かれなかった。
祐巳が肩を叩いて、やっと気がついたくらいだ。

それでも何処かぼんやりな由乃さんに、祐巳は「で、どうだった?」と聞いてしまった。

だって、あの江利子さまを納得させたのは一体なんだったのか知りたくてたまらなかったから。
正直に謝ったのかと思って聞いてみた。
でも正直に謝って、江利子さまがあっさりと引くだろうか…?

そうしたら「紹介したもの」なんて答えが返ってきて、祐巳は本当に驚いた。

「えっ。いったい、誰を!?もしかして妹候補の子、どちらかここに来てたの!?」

待ち合わせの場所に現れずに直接由乃さんのところへ行ったってことなんだろうか…?


「ううん。どっちも来なかった」
「ええ!?そ、それじゃ…」
「まあ片方の子はクビにしたんだから、この場所にのこのこ来られるようなそんな強い心臓は持ち合わせて居ないんじゃない?」
「じゃ、じゃあ…?」

それなら一体誰を江利子さまに紹介したというのだろう…
祐巳が聞こうとしたその時、由乃さんがポツリと「有馬菜々」と呟いた。

「え?」
「有馬菜々っていう子」

知らない名前だ。
一度くらい聞いた事があれば…なんて考えたけれども、きっと聞いた事の無い名前だろう。

「いつの間に……、私、聞いてないよ」

江利子さまに紹介するしないはともかく事前にそういう一年生がいるって教えてくれても罰は当たらないと思うんだけど…
思わずそうこぼしてしまうと、由乃さんが「教えたくても、さっき会ったばかりだから」とあっさり云った。
祐巳の目が思わず点になってしまった。

しかも。

「どんな子だか、これから調べるのよ」なんて云ってのけた。
もう祐巳は何が何だか。

「……一体、何があったの」

ゴクン、と生唾を飲んでしまう。
何を云われるのかとヒヤヒヤしながら聞くと、由乃さんもちょっと遠くを見るような目をする。

「それが、よくわからないんだ」
「由乃さん…」

由乃さん自身も困惑している感じがする。
本当に、何も知らない、会ったばかりの子なんだって事が見て取れた。

祐巳に視線を移すと、由乃さんがちょっと真剣な目をして云った。

「ただ一つ云える事は、祐巳さんには出来るだけ速やかに妹を造ってもらいたい、って事だけよ」
「えっ。何それ」

突拍子もない由乃さんの言葉に目を丸くしてしまった。
すると由乃さんはちょっぴり笑って、そして歩き出しながら云った。

「だって万が一の事があったら、乃梨子ちゃんがかわいそうじゃない」
「ちょっ…由乃さん?由乃さんってば!」


万が一…って…?


「有馬菜々ね、中等部なのよ。三年生」

くるり、と振り返ると、由乃さんはそう云ってフッと微笑んだ。

中等部…三年生…
って事は…二つ下?

先を歩く由乃さんの背中を見ながら祐巳は考える。

中等部三年生…二つ下。
祐巳に出来るだけ速やかに妹を作ってくれと云った由乃さん。

「……あ…」

『万が一の事があったら、乃梨子ちゃんがかわいそうじゃない』

そこで、祐巳は聖さまを思い浮かべた。
二つ下の志摩子さんを妹にした、聖さまを。

…もしかしたら、もしかするかもしれない。
由乃さんも祐巳と同じように聖さまの事を考えているんじゃないだろうか。

トトト…、と小走りに由乃さんに追い付いて、隣に並んで歩きながら、祐巳は考える。
今まで考えなかった訳じゃない。
でも何処か遠い所から見ていただけだったんじゃないかって。

『妹』を作るって事の意味を祐巳は今、真剣に考えていた。




to be continued

20050807

posted by 松島深冬 at 08:58| ☁| Comment(0) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月04日

恋とは苦く甘やかなもの・4

『妹オーディション』聖祐巳フィルタver.続きです。
またも朝打ち。
またもちょっと短いかも…

しかし。
SSリンクに江利子さまの名を入れてなかった事が口惜しや。
今の状態では祥子さまより江利子さまのが多いやん!(笑)


では、どうぞー










   4



………

…き、気まずい。

隣に祥子さま。
反対隣に聖さま。

誰も、何も云わない。
祐巳は…何を云っていいか解らない。

周りは帰り準備を始めていたり、楽しげに談笑していたり試合の事を話していたり。
でも、ここの席だけ『ストップ』の魔法でも掛けられているみたい。

「祥子と祐巳ちゃんはこの後どうするの?志摩子たちと何処で落ち合うんでしょ?」

蓉子さまが何処か呆れたような「仕方が無いわね」みたいな顔で立ち上がりバッグを肩に掛けながら云った。
その声に祥子さまが弾かれたみたいに顔を蓉子さまへ向けた。
時間が、動き始める。
…聖さまは、相変わらず何処か空中を見ているけれど…

「え、ええ。ロビーで。それから薔薇の館へ戻ります」
「そう。それなら行きましょ。江利子はロビーで待ってるように云って行ったから。ほら、私たちも行くわよ聖」
「あ?ああ、うん」

聖さまがゆっくり立ち上がる。

「ほら、祐巳ちゃん何ボーッとしてんの。立って立って」

その時、祐巳の腕を取って引き上げるように立ち上がらせられる。
ボーッとって、聖さまの方がボーッとしていたくせに…
ちょっとムッとして聖さまの顔を見ると、あの悪戯っ子みたいな目で祐巳を見て、ポンポンと頭を軽く叩く。

…実は、蓉子さまの言葉にちょっぴり引っ掛かっていた。

『私たち』

なんでこんな言葉にって自分でも思うけど。

去年なら、この後聖さまと蓉子さまと薔薇の館に戻ったのにと。
そして…

それを考えた事に、祐巳は気恥ずかしいような、なんとも云えない気分になる。
こんな風に、考えるなんて。
だって蓉子さまは祥子さまのお姉さまで、祐巳のおばあちゃんで…聖さまの親友なんだから。
でも…こういう気持ちは…理屈じゃないから。

「どうしたの?祐巳ちゃん?」

蓉子さまが俯いている祐巳の肩に手を置いて聞いてくる。

「…いえ、リリアンが負けてしまって、ちょっぴり残念だなって」
「そうね…でも、負けてしまった事が、次への力にもなるの。だから、来年のリリアンは今年よりもっともっと強くなるわ。きっとね」

そう云って蓉子さまは華のように微笑まれた。
頼もしくて優しい、大好きな人。
祥子さまのお姉さまで、祐巳のおばあちゃん。

「…はい。そう、ですね…蓉子さま。来年は由乃さんも試合に出られるかもしれませんしね」
「ええ。来年が楽しみね」

そう云って、蓉子さまは祥子さまの方へ行かれた。

祐巳は、居た堪れない気持ちで胸がいっぱいになってしまう。
…嫉妬、してしまった。
こんなに、優しい蓉子さまに。
祐巳なんかよりもずっと、聖さまの立ち位置に近い場所にいる蓉子さまに。




ロビーに移動すると、外部大学に進学された蓉子さまはアッという間に数人のリリアンの生徒に囲まれてしまった。
そういえば、あの梅雨の時の『祥子さまの一大事』にリリアンに現れた蓉子さまは数人の生徒に囲まれていた。
その時の人もいるかもしれない。
祐巳は人の顔をなかなか覚えられないし、あの時は祥子さまの事で頭がいっぱいだったから、誰が居たかなんて全く覚えていないけれど。

「さすが蓉子、モッテモテ〜」

ひゅー、と口笛を吹きながら壁に寄り掛かって云う聖さまの言葉に祥子さまは複雑そうに蓉子さまを見ている。
…人気のあるお姉さまを持つといろいろ気苦労は絶えないから…って、それは祐巳の考えで、祥子さまも同じように考えているかは解らないけれど。
そんな聖さまの方を遠巻きに見ている生徒もちらほら。
人の事なんて云えない人だって事を、聖さまは解っていないらしい。

「ん?何?祐巳ちゃん」
「…いいえ」

…時々、祐巳は思う。
どうして聖さまは祐巳を…?って。
卒業されてもう八ヶ月。
でも、前薔薇さまの聖さまは未だに高等部でも人気があって。
大学部でも外部入学の人たちからも好かれている。

不安に、ならない訳、ない。


「…祐巳ちゃん?」

小さな、低い声で聞いてくる。
それにふるる、と頭を振る。
そして今日逢った時に思った事を聞いた。

「…どうして、今日来るって教えてくれなかったんですか」
「ん?それは…っと、江利子が来た。ごめん、後で話すよ」

そう云って聖さまは祐巳の片方の髪に触れてから、「おーい」と江利子さまにその手を振った。

「後で…って…」

この後、聖さまたちは何処か行かれるのかどうするのかも解らないし、祐巳は薔薇の館に戻らなきゃいけない。
後で、っていつ?

それにしても…歩いてくる江利子さまの表情は何処か楽しげ。
由乃さんは一体なんと江利子さまに云ったんだろう…
捕まらなかった、なんて事は有り得ない。
なら江利子さまはあんな顔していないだろうし。
江利子さまの追及の手を逃れ、そして『意外性』が原動力の江利子さまを納得させられる事を、由乃さんはどう提示したんだろう。

祐巳が首をかしげていると江利子さまが祐巳の呼ぶ。

「祐巳ちゃん祐巳ちゃん」
「は、はい、なんですか?」

手招きされて駆け寄る。

「由乃ちゃん、トイレの前にいるから迎えに行ってやってくれる?」
「は、はい!」

よろしくね、と江利子さまに手を振られながら祐巳はその場を離れた。


…迎えに、って…どうしているんだろう、由乃さん。




to be continued

20050804
posted by 松島深冬 at 08:44| ☁| Comment(6) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月02日

恋とは苦く甘やかなもの・3

今回も『妹オーディション』ネタ続きです。
ちょっと短いでしょうか…すいません、今打ち込んだので。
ゆうべは寝落ちました…
で、朝の一時間でこれを打ち込む私。

では、どうぞ











    3





試合を見てるうちに、聖さまの手がするりと外された。

……え

腕組みをされた聖さまの横顔を見ながら、どうして?と思ってしまう。
手を握られている事で落ち着かなくて、試合に集中出来なかったけれど…それからは手を外された事が気になって集中出来ない。

蓉子さまと江利子さまは去年の試合のことを話しているようだ。
去年、江利子さまは親知らずの処為であの由乃さんが巻き起こした黄薔薇革命も何もかもうわの空で過ごされた浦島太郎だった。
…そう、そして祐巳は元気いっぱいになった江利子さまに質問攻めにされたんだ。

「ほんと、あの時はどうしたかと思ったわよ…ねぇ?」
「そうそう。えーと?数年前のあれはなんだったっけ?盲腸だったっけ?いや、ぎっくり腰?」
「…中耳炎よ」

聖さまがその話題に混じって楽しそうに笑っている。

祐巳は今まで握られていた右手をキュ、と握り締める。
なんだか、寂しい。

「ほら、祐巳」

去年のように顎をつまんでクイ、と上を向かされる。

「お、お姉さま」
「由乃ちゃんや令をきちんと見ていなさい」
「はい…」

そうだった。
去年は令さまは試合、由乃さんは手術とふたりは離れた所で一緒に戦っていた。
そして今年は由乃さんは初めての大きな試合。
試合に出る事は無いけれど、令さま…そして他の部員の試合を間近で見て、一緒に戦っている。

…いや、きっとこの後の事も頭から抜けないだろうけど…
そう思って、祐巳は江利子さまに目を向けた。
きっと由乃さんとは正反対にこの後を楽しみにしているんだろうな、って思って。

え?
あ…れ?

聖さまが、祐巳を見てた…気がした。
顔は前の方を見ていたけれど、でも。

なんだか…痛そうな、苦しそうな目をして。



「今年の太仲女子は去年より勢いがある気がするわ」

祥子さまがポツリと呟いた。
聖さまが気になったけれど、祐巳は祥子さまの話に耳を傾けた。

「去年、令さまに負けた太仲の大将は」
「ええ、卒業したわ。今年はその大将の妹が大将と中堅にいるの。去年令に負けた姉の雪辱戦の意味もあるのかもしれないわね…」

決勝はリリアンと太仲女子。
うわ…姉のリベンジって感じなんだ…
しかも、今年で令さまが卒業するから、何が何でもって感じかもしれない。

でも、令さまも今年で高等部を卒業する。
しかも、今年はすぐ側で由乃さんが見てるんだから、負けられない。

否。
令さまは、負けないだろうと祐巳は思った。



 
  †




試合は結局令さまが勝った。
…リリアンは、負けてしまったけれど。

優勝したはずなのに、太仲の大将は泣いていて。
やっぱり、令さまに勝ちたかったんだろうなって…祐巳は思った。

江利子さまは優しげに微笑んでいる。
令さまを、労っているような、優しい顔。
全力で試合に望んだ令さまは清清しい顔で江利子さまを見た気がした。
令さまは由乃さんのお姉さまで、従姉で…でも、江利子さまと姉妹で。
なんだか、江利子さまの『お姉さま』な部分を垣間見た気がした…


なのに。


「さぁて」

江利子さまがゆっくりと立ち上がる。
蓉子さまが立ち上がった江利子さまを不思議そうに見上げた。
聖さまは肩を竦める。

「江利子?」
「逃げられる前に、行ってくるわ」
「いってらっすぁーい」

うわ!
よ、由乃さん!
逃げてーっ!


「…江利子さまは、何故あんなに張り切っているのかしら」

祥子さまが首を傾げた。

「由乃ちゃんの妹が早く見たいんでしょ」

蓉子さまが苦笑しながら云う。
いや、それだけじゃない…
祐巳は心の中で溜息をつく。

聖さまはまっすぐに前を見ている。

「お、由乃ちゃん気付いた気付いた。早く逃げなきゃでこちんが迫ってるぞー」

…で、でこちん…

思わず祐巳は聖さまを見る。

「ん?なぁに?何か云いたげだね」
「い、いえ」

なんでもないです、と祐巳は逃げていく由乃さんとそれを追い掛けていく江利子さまを見た。

…逃げ…きれないだろうな…

祐巳は今度こそ、大きな溜息をついた。




to be continued

20050802
posted by 松島深冬 at 08:54| ☁| Comment(4) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月29日

恋とは苦く甘やかなもの・2

続きです。
なかなか長くなりそうでドッキドキー

なるべく違和感無い様に…と思っていますが…
これもやはり『妹オーディション』を読まれた後に読んで戴けると嬉しいです。

では、どうぞ。









   2



「ところで、由乃ちゃんの妹はどんな子?」

居た堪れなさの中、祐巳が最後の一個を食べ終わりコーヒー牛乳の紙パックがズズズッと最後の音を発すると、江利子さまは第二ラウンドを開始した。
聖さまはやっぱりさっきと同様、助けてくれそうにない。
きっと今日はこの調子なんだと思う。
…それ程に、江利子さまの今日への期待が大きかった…という事なんだろうか…?

「さあ」と答えた祐巳に江利子さまは「惚けたって駄目」と追及の手を緩めてはくれない。
でも、本当に知らないものは知らないから、答えようもないのが祐巳の強みだけれど。

それにしても…本当に、由乃さんは『誰』を江利子さまに紹介するのだろう…心配になってくる。
妹候補の子たちはとうとう現れなかったし。
由乃さんの性格を考えると江利子さまに素直に「妹は出来てません」なんて云えるはずがない。

…って、今のこの状況から考えても、江利子さまに困っているのは祐巳も同じなんだけど。
とにかく、今は祐巳に迫る江利子さまの追及をなんとかしなくては。

「それが、まだ紹介してもらってないんですよ、私。たぶん令さまも、……と思いますよ。由乃さんは、江利子さまにまず一番に報告するんだって云ってましたから」

これは事実だ。
だって本当に紹介されてないんだから。
聖さまがそんな祐巳に『へぇ』というような顔をする。
…祐巳がどう江利子さまに対抗するか、素で楽しんでいるんだから。
でも祐巳のその答え方は、聖さまの顔を見る分には間違っていなかったんだろう。
現に江利子さまも「誤魔化すのうまくなったわね」と、ちょっといい気分、みたいな表情を見え隠れさせながら美しく微笑んだから。
でも、その微笑みが異様に恐い。

…確か、江利子さまの事を『スッポン』と称したのは…今祐巳の隣にいる、異国風の綺麗な顔で中身はちょっぴりオヤジ仕様のこの人だったはず。
もし由乃さんが祐巳の「逃げて」というテレパシーを受け取って逃げたとしても、きっと、その『スッポン』の異名の通りに何が何でもこの会場で片をつけようと何処までも追い掛けて行きそうな気がした。
さすが聖さま、ご自分の親友を解っていらっしゃる…そう思わざるを得ないほど、その異名はピッタリだと思った。


そして、ちょっぴりいい気分で江利子さまは第二ラウンドを終わらせると『会場内から由乃さんの妹候補を当てっこする』なんていう恐ろしい遊びを聖さまと蓉子さまに提案し、お二方ともその遊びに乗られてしまった。
…こ、恐すぎる…

「ヒントになるとつまらないから、祐巳ちゃんと祥子は黙っていてね」

うわ…語尾に音符が見える…もしくはハートマーク?
盛り上がるお三方に祥子さまは何も云わずに文庫本を手に取られてしまう。
これぞまさに『一抜けた』ってヤツ。

ず、ずるいです!祥子さま!

こんな恐ろしくて不毛な遊びに祐巳だって付き合いたくなんか無い。
しかも『ヒントになるとつまらないから黙ってて』なんて云っていたのに反応を見ながら予想を立てるおつもりなのか聖さまは祐巳の腕をガッシと捕まえた。
矛盾してますってば!

そして…腕を取られて聖さまの体に引き寄せられる形になってしまって、祐巳は妙に落ち着かない。
心臓が、またもドキドキし始める。
すると…聞くとはなしに、祥子さまの溜息が耳に聞こえてきた。
またさっきの居た堪れなさが祐巳の中に甦る。

少し、聖さまから離れて方が…いいだろうか。

そう思ったのが聖さまにも解ったのだろうか…腕を掴んでいた左手が、するりと滑り下りて…祐巳の手を握った。
きゅっ、と少し冷たい手が祐巳の手に…指にからむ。
左手は祐巳の手を握って、反対の手でお三方でジャンケンなんかして。

聖さまの顔を伺うと…楽しげに『由乃さんの妹らしき子』を物色している。
そして右手で「向こう側の席の前から三列目のあの子」なんて真実さんに指をさした。

…あれ?
聖さまは真実さんが三奈子さまの妹だって知ってるはずなのに…?
春の、卒業式の日、三奈子さまと真実さんが一緒に現れて挨拶したんだから。
その光景を、お三方で微笑ましげに見られていたんだから。

案の定、蓉子さまに「駄目よ聖。あれは二年生だもの」と云われてしまう。
すると聖さまはすぐに「あー、築山三奈子の妹だ。じゃ、その隣でいいや」と適当に決めてしまわれた。

祐巳は何かが引っ掛かる感じで聖さまの顔を見る。
視線に気付かないはずは無いのに、聖さまは祐巳を見ない。
ただ、左手だけは、しっかりと握られていて…
妙に祐巳を落ち着かなくさせた。


蓉子さまも蔦子さんと伴ってきていた笙子ちゃんに決め、江利子さまが瞳子ちゃんと可南子ちゃんに目星をつけ…それに聖さまは蓉子さまと茶々を入れる。
可南子ちゃんの名を確認するために祐巳を見たけれど、特に変わった感じは全く見せない。
でも、何かが違う。
解らないけれど。

楽しそうに、江利子さまが知らない事を蓉子さまと一緒に口にして、江利子さまをヤキモキさせて笑っているのに。

密着した体。
きっと、誰にも繋いだ手を見えないだろう。
でも、その握られた手から伝わってくる感覚は…

…聖さま?

祐巳は心の中から聖さまの名を呼ぶ。
聞こえるはずは無いけれど。
でも、手のひらから伝わったのか、聖さまの手がほんの少し祐巳の手を握る手を強めた。


結局、江利子さまは何故かリリアンのライバル校の太仲女子の一団に埋もれていたベビーピンクのトレーナーの子を選んだ。
どこかご自分に似た少女を。

そうして試合開始までのひと時を楽しんで気がつくと、いよいよ二時。
祥子さまが栞を挟んで文庫本を閉じた。

皆、試合場に目を向ける。

祐巳も、試合場に目を向けた。
…けれど…握られたままの右手に集中していた意識は、なかなか試合場へ向けられなかった。




to be continued

20050729
posted by 松島深冬 at 02:41| ☁| Comment(4) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月27日

恋とは苦く甘やかなもの

やはり書きます。祐巳ver。
そして続きます。
『妹オーディション』ネタですので一応お読みになられてからの方が良いかと。

とりあえずぶち込みup。
レスは夜に。


ではドウゾ









学園祭も終わった、ある秋の日
祐巳はいつの間にか当たり前のように心に入り込んでいたあの人の手を取った。

出逢って、一年。

まさか、こんなに祐巳の中で大きな存在になるなんて。
まさか、こんなに好きになるなんて…

お姉さまの祥子さまへの思いとは、違う気持ちが生まれるなんて。
少しずつ、祐巳も気付かないうちに、心の中のあの人が大きくなっているなんて。

『大好き』と『好き』
こんなに重みが違うなんて、

そして、その気持ちに気付いてしまうことで、それを告げることで、大切な人を傷付けてしまうことになるなんて…





  †





「あの、ここ空いていますよね」

祐巳は一応隣の席の人に尋ねてみた。
…あれ?
なんだろう…この感じ。

「座りたかったら、そのサンドイッチ一つ置いてけ〜」
「――」

置いてけ、って『置いてけ堀』の妖怪か。
そんな事を云う人、祐巳の知る限り一人しかいない。
だけど、どうしてその人が此処にいるんだろう。

「どうして、ここに聖さまがいるんですかっ」

今日この場に来るなんて、祐巳は聞いてませんけどっ?
驚いている祐巳に聖さまは『してやったり』みたいな顔でニッと笑う。

「だって、今から面白い事が起きるんでしょ。江利子に聞いたよん」

いやだから聖さま、今日来るなんて一言も云ってなかったじゃないですか。
そ、そりゃ…祐巳もここ最近バタバタしていて、あまり会えなかったですけど…でも電話でこの交流試合の事を云った時は特に何も云わなかったのに。

って、あれ?

「え、江利子さま?」

聞き返した祐巳に、聖さまの向こう側からなんとそれに答える声があった。

「はーい」

うわっ。本人。
手まで上げちゃって。
すごい上機嫌。

しかもその江利子さまの隣には蓉子さまの姿まで。
江利子さまはこの場にいて当然なんだけど…でも本当に由乃さんは無謀な約束をしていたんだなとしみじみに思う。

「後ろ姿でもしやと思いましたけれど――」なんて祥子さまは云っていたけど、祐巳は全然解らなかった。
そう考えていたのが解ったのか、聖さまが肩を竦める。
でも『すいません、この席に来たのは偶然だったんです』…なんて事は改めて云えることじゃない。

でも、どうして聖さまが今日此処に来るって教えてくれなかったのかが、何となく少しだけだけど解った。
江利子さまは今日この日を本当に楽しみにしていたんだ。
だから聖さまも必要以上に何も云わなかったし、また聞いて来なかったのかも。

ああもう、でもっ

祐巳は江利子さまの質問攻撃第一ラウンドを受けながら、聖さまを見ると妙に楽しげで。
なんだか、憎々しく思ってきてしまった。

こちらは時々触れる膝にだってドキドキしてるのに。
まあ江利子さまに何を云われるか、うまくかわせるかってことにもドキドキしていたけれど。

でも…聖さまにドキドキするたびに祐巳の隣に座っている祥子さまの事が気に掛かる。
祥子さまの隣で、聖さまにドキドキするのは…祥子さまを傷付ける事になるんじゃないか…なんて。






一時休戦、みたいな感じでコンビニで買ったサンドイッチを摘んでいる時は質問を勘弁してくれている江利子さまや蓉子さまと、何やら楽しげに話していた聖さまが、いつの間に見ていたのか、すっと伸びて来た手がサンドイッチを一個持って行った。
持って行きながら、祐巳の耳元に唇を寄せる。

「何怒ってるの?」

小さな、祐巳にしか聞こえないくらいの声が云う。

「……別に」

怒ってなんか…

そう云うと、ふーん?と聖さまは意味深に云うと、今度はコーヒー牛乳を一口。

「…お三方でランチしてきたんじゃなかったんですか」
「してきたよ。でも隣の芝生は青いってね」

…何か違いませんか、それ。
祐巳は頭をひねりながら聖さまからコーヒー牛乳を受け取ってストローに口をつけた。
瞬間、ハッとしてしまう。

これって、間接キス?
い、いや、前にも缶入りおしるこを聖さまに味見されたことがあったじゃないか。
で…でも…

なんでか解らないけれど、妙に意識してしまって、頬が熱くなってくる。
そんな祐巳に聖さまは気付いているのかいないのか。
でもきっと気付いてるに違いない。
だって、祐巳の顔をジッと見ているんだから。

落ち着け、落ち着け。
そして顔の熱、冷めて。

祥子さまが不思議そうな顔で祐巳を見た。

「…何を赤くなっているの?祐巳」
「ひゃぁ!」

な、なんて声が出るかな、もう。

「祐巳?」
「い、いえ、何でも無いです…ハイ」

隣では祥子さまが怪訝そうな顔をする。
反対隣では聖さまが俯いて肩を震わせている。

…祐巳は、居た堪れなくなってしまってコーヒー牛乳を飲んだ。




to be continued
20050727
posted by 松島深冬 at 08:40| ☁| Comment(4) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月25日

恋とは捕捉される事に似たり

…続きます、きっと。
いや、ここでやめるのもオツでしょうか…
ちなみに続きとはメールの内容です。
『妹オーディション』を読んでない方は読まれてからが良いかと。

今晩はレスとか出来そうです。
体調の方は騙し騙しでしょう。
でもだいぶ落ち着いてきました。
ご心配下さった皆様、有難うございます。

では、どうぞ。SSS
posted by 松島深冬 at 09:05| ☁| Comment(4) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月20日

あっという間

携帯に打ち込んだので短いですけど。

時折、思い返してみるのもいいでしょう?


SSS
posted by 松島深冬 at 08:37| ☁| Comment(10) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月13日

ゴンドラの唄

…このままではイカン、と思い。
短いのを書いてみました。
リハビリです。

では、ドウゾ



SSS
posted by 松島深冬 at 02:54| 🌁| Comment(7) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月09日

のんびりゆっくりゆったりと



『ヤッターマンがいる限り!』
『この世に悪は栄えなーい!』
『コローン!』
『キーング!』

あーっはっはっはっはっはっはっ…




「……」

祐巳が合鍵を使って部屋の中に入ると、そこにはレンタルDVDが数枚と昔のアニメが映っているTV、そしてその前で眠ってしまっている聖さまが目に入った…







「昨日レンタル屋で55円レンタルやってたからさ、ついたくさん借りて来ちゃったんだよね」

今朝は、と云ってももう十時だけど…白いご飯に卵焼きと焼き魚、そしてほうれん草のお浸しとお味噌汁という純和風な朝食を食べ終えた聖さまが、そう云いながらお煎茶をひと口。

「もしかして…聖さまってば夜通し見ていたんですか?」
「いやぁ、見出したら止まらなくなっちゃってねー」
「…懐かしアニメばかりですか」

思わず呆れてしまうラインナップ。

でも…聖さまという人は、妙な所で凝り性な所があったりする。
この前はホラー映画のシリーズを借りてきて観ていたっけ。
…多分あれは祐巳を怖がらせてからかうって意図もあったんだろうけど。

「小さい頃ってあまりこういうの観なかったから、ついつい新鮮で」

それにしても古過ぎな上に、ずいぶんマニアックな選択じゃないですか聖さま。
祐巳はおろか、二歳違いの聖さまだって、もちろん生まれてませんよ?本放映時。

「どうも勧善懲悪な話って、あまり好かなかったからさ」
「かんぜんちょうあく…ですか?」

どんな漢字書くんだっけ?
…完全超悪?
完善超悪…
違う…何か違う…絶対違う。

「そりゃあさ?子供に見せるのが目的で作られたものなんだから当たり前なんだろうけどさ…善は必ず悪に勝つでしょ?絶対的に」

そういうのがちょっぴり苦手でね。
そう云って聖さまは苦く笑った。
『絶対的』という言葉にちょっとだけ引っ掛かりを覚えた。
確かに、聖さまが観ていたアニメは一応悪者の三人組が必ず負ける。

「…でも私はドロンジョさま、好きでしたよ?」

再放送だか再々放送だか、それとももっとかもしれないけど…小さい頃に観たから知ってる。
三人組の悪者はどこか憎めない感じで、嫌いにはなれなかった。
だから、思わずそう云ってしまったら、聖さまが何とも云えない顔をして、次にプッと吹き出した。
…なにかおかしな事、云っただろうか?

「うん、私もゆうべ見てたら彼女が好きだなって思った」

まだ笑ってる。

そんなにおかしな事を云ったのかと不安になってくる。
顔に不安が出たんだろうか、聖さまが祐巳の頭を撫でて「ごめんごめん」と云った。


「…昔の私はそんな風に思えなかったからさ」
「……?」
「なんで必ず負けるのに、あんなに毎回毎回…って。だから、あまり観なかったんだな」

そう云いながら、聖さまはいつものように祐巳をすっぽりと抱きしめる。

「なんだか、ちょっぴり勿体ない事しちゃったなー、なんて…思ってさ。」
「勿体ない…?」

祐巳は聖さまの顔を仰ぎ見る。
…ちょっと寂しい顔。

「小さい頃見てたら、何かを感じられたかもしれなかったのにって思って。先入観から見なかったり避けたものとか、私は結構あるのかもしれないな」
「…小さい時に観ていたアニメって、今見返したら雰囲気とか意味合いとか違う事ってありますよ。だからきっと、聖さまが観て何かを感じたのは、今の聖さまだからかもしれませんよ?」

小さい頃、ただただ毎週楽しみにして観ていたアニメが、ある程度の歳になったある日やっていた再放送を観たら全然雰囲気が違っていて、本当は物凄く深くて濃い人間ドラマが展開されていた物語だった、なんてのもあって驚いた事が祐巳にはある。
だから…聖さまもそういうのなんじゃないだろうか、と思って。

「今の…私だから?」
「そ、そりゃ一概には云えないかもしれませんけど…今の聖さまだから見える所とか感じる部分とか」

目を瞬かせて祐巳を見て云う聖さまに、何故だか解らないけれど、ちょっと慌てて云う。
すると、聖さまが「そっか…」と破顔する。

思わず、こちらが紅くなりそうになるほどの魅力的な表情。

「じゃ、今こんな風に思えたのは、祐巳ちゃんのお陰だ」
「へ?」

な、なんでいきなりそうなるんだろう?

聖さまは妙に晴れ晴れとした顔で笑う。

「ちょ、ちょっと聖さま?」
「前にも云った事、あるかもしれないけど、私は祐巳ちゃんと出会って、祐巳ちゃんと一緒にいた事で、変われた部分ってのがあるんだ。だからさ」


聖さまの腕が、きゅっと祐巳を抱きしめる。
そして、表情はどこか嬉しそうで。
思わず、祐巳まで嬉しくなってしまう。
もっともっと、聖さまのこんな表情を見たいなって思う。

「聖さま、まだ観ていないDVDはあるんですか?」
「ん?うん」
「もしどこか行く予定、ありました?」
「ううん、祐巳ちゃんと決めようと思ってたから…」
「じゃあ今日はそれを観ながら過ごしませんか?」
「…いいの?それで」


外は良い天気。
絶好のお出掛け日和。

でも、聖さまの笑顔を見ながらゆっくりゆったり、過ごすのも祐巳は大好きだから。

「はいっ聖さまと一緒に新たな発見ってのも良いですもん」




20050709

posted by 松島深冬 at 08:11| ☔| Comment(6) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月05日

小さな幸せ



自分が変わった、そう思う事が結構ある。
それは本当にいろいろな部分で思うけれど…




「…こういうものには心を動かされたりはしなかったよなぁ…」

タヌキ

思わず、苦笑する。


何気なく立ち寄ったショップ。
そこで、出会ってしまった。
以前の私はあまり物に心を動かすという事が少なかった。
まして、かわいらしいものには、無縁。

その私が今、立ち止まっている。

思わず、ふっ、と笑いを零してしまった。

物を見る規準が変わっているんだよね、と。

あの子に似てる。
あの子が好きそう。
あの子に似合う。

…そう。
規準が変わった。

キーワードが『あの子』に。




結局。
私は大小ふたつのそれを抱えてレジの前に立っていた。

店員の「贈り物ですか?」の言葉に微笑みだけを返す。

贈り物。
自分自身への。

店員がほんの少し、頬を染めて「それではリボンをお掛けしますね」と云う。
勝手にやってくれる事に、こちらからは何も云わずに外へと目を向ける。

そろそろ、約束の時間だ。

あの子は大体5分前には待ち合わせ場所に着くように来るから。

「お待たせしました。有難うございました」

パステルカラーの淡い色調の包装に真っ赤なリボン。
こちらからは何も云っていないのに、まるであの子へのプレゼントのような仕上がりに、店の外へと向かいながら思わず口元を緩めた。


きっと、あの子はまた怒るんだろうな。

『いつまで私を子ダヌキ扱いするんですか!』

そう云うだろう。

それでも。
これからもあの子みたいな、あの子に似合う、あの子が好きそうなモノが、私の部屋の一角に増えて行くんじゃないかな、なんて。

そして、その度にあの子の少し怒った声と仕方なさげな微笑みを私は見聞きして笑うんだろう。

小さな幸せに、笑うんだろう。





「聖さまってば…まだ私は子ダヌキなんですか!」
「別に祐巳ちゃんに買った訳じゃないよーだ。このタヌキ枕は私が使うんだもん」
「…枕が違うと寝付きが良くないって云っていたのは、誰でしたっけ」
「…私です」

へにょり、となった私に祐巳ちゃんは『仕方ないな』と云うようにちょっぴり微笑むと、大小ふたつのタヌキを抱える。

「この子たちには罪は無いですもんね…」

気持ち良い、と『ましゅまろせらぴ』と書かれたタグ付きのパイル生地のタヌキに頬擦りする。

「私がいない時に、聖さまの側にいてね」

そう、タヌキに話し掛ける祐巳ちゃんを私は背中からゆっくり抱きしめた。


小さな幸せに、微笑みながら。




20050705

posted by 松島深冬 at 23:43| ☁| Comment(4) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月30日

一緒にいたい人

…また寝落ちた…
どうなっているんでしょうか私。

今晩こそ…今晩こそは!
という決意を胸に、朝っぱらから短いお話を。
ヒネりが足りませんけど…

ついでに鉛筆絵ですがupしてみました…

では、どうぞ。



SSS
posted by 松島深冬 at 09:30| ☀| Comment(9) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月28日

ひとくち

寝落ちました

もうダメです…何故眠くなるのか、そして眠ってしまうのか…

どうしようもないです

切腹?



SSS
posted by 松島深冬 at 09:30| ☔| Comment(10) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月23日

共に刻む時間を

以前書いた『許された距離』『刻み込まれる時』の祐巳verですー
でも別物…








あともう少しで、卒業されてしまう。
大好きな、お姉さま。

誰もが通り抜けてきた悲しみ、そして寂しさ。
志摩子さんは祐巳と同じ学年で、でも祐巳より一足先にそれを体験した。
そして、きっとその寂しさを一人で乗り越えた。

誰もが通り抜ける道。


この目の前にいる、志摩子さんのお姉さま…前白薔薇さまだった聖さまも、同じよう乗り越えきたんだろう。

でもこの人は、ご自分のお姉さまとの『卒業』という名の別れを体験する前に、多分、初めて心の底から愛された人との別れを体験した人だから。


その事を考えると…祐巳の心に冷たい風が吹く。
乗り越えなくてはならないものは、ここにもあった。


本当は、気にしてはいけないのかもしれない。
そうする事が、聖さまを苦しめてしまう事だってあるのを、祐巳だって解ってる。
でも…気にならない訳はない。
『久保栞』という人の事を。
聖さまが愛したという…その人を。
祐巳は、忘れる事は出来ない。









今、祐巳の腕時計は聖さまの左手首にある。
普段、腕時計を身につける事がとても少ない聖さまの左手首で、時間を刻んでいる。

祐巳の手首には、聖さまから戴いた時計。
聖さまの曾祖母という人が大切にしていた時計に酷似しているという。
…ひいお祖母さまが大切なお友達と交換された腕時計に。
腕時計は、それを聞いた祐巳の手首で、しっかりと、ひいお祖母さまとお友達の大切か時間を引き継いでいるように時を刻んでいる。


薔薇の館で目敏い由乃さんに「新しい時計だね」って云われて、思わず赤くなってしまった。
そんな祐巳の態度で、由乃さんにはすぐに聖さまから戴いたものだって直ぐに解ってしまったけど。


戴いた時から、この時計は祐巳の手首で時を刻んでいて。

それが、時折切なくなる。
たまらなく、切なくなる。

かちこちと、祐巳の手で動く針。

聖さまに会えない時間を。
聖さまに会える時間を。
聖さまと、離れなきゃいけない時間を。

時計は容赦なく、刻む。


でも…その時計は今日は祐巳の手には無い。

昨日、聖さまのお部屋に伺った時、聖さま本人に外されてしまって…
その後、蓉子さまがいらっしゃると聞いて、祐巳は邪魔をしないようにとお部屋を後にした。
そしてM駅から乗り込んだバスの中で、腕時計が無い事に気付いた。

帰宅してすぐに聖さまに電話を入れると、明るい声が返ってきて…
蓉子さまがいらしていて、そんなに楽しいのかな…とちょっと寂しくなりかけたその時、聖さまがとんでもないことを云った。

『この腕時計は預かったー返して欲しくばマスタードタラモサラダサンドを持参しろー』
「…もしかして聖さま!私が腕時計つけていないの、解ってたんですか!?」
『まさか。テーブルにある事にさっき気付いたんだよん』

でもなんだか怪しくて。

でも…もし解っていて返してくれなかったのなら…ちょっと嬉しい。
明日も、お部屋に行けるから。
聖さまに会えるから。

「…聖さま、私の代わりにネジを巻いておいて下さいね?嫌ですよ?巻き忘れて止めちゃ」

聖さまがくれた時計。
ネジの回し方も、聖さまが教えてくれた。
最初のネジは、聖さまが巻いてくれて、時計は時を刻み始めた。
だから…止めたくない。
絶対。

『うん、大丈夫だから』
「絶対ですよ?マスタードタラモサラダサンド、持って行きますね」
『うん、じゃあ明日ね。待ってる』
「…サンドイッチをですか?」
『ははは!祐巳ちゃんヤキモチだー』
「違…っ」

…違わない。
その時の祐巳は、サンドイッチと、聖さまの側にいる蓉子さまに嫉妬していたから。









「…祐巳とこうして一緒に帰るの、久しぶりね」

祥子さまが微笑みながら祐巳を見る。

自由登校期間に入ってしまった三年生は、本当に校舎の中ではその姿を見る事は疎らで。

実際、祥子さまの姿を見たのは3日ぶりで、こうして一緒に銀杏並木を歩くのは一週間ぶりくらいかもしれなかった。

おうちの御用や、いろいろ忙しかった…祥子さまはそう云った。
薔薇の館で見掛けても、帰宅しようという時にはもう帰られているから。

「…あら?祐巳、今日は腕時計をしていないのね」

聖さまご所望のマスタードタラモサラダサンドが入った袋を左腕で抱いていたから、いつもなら見える腕時計が無い事に気付いたのだろう。

「あ…ちょっと忘れてしまったんです」
「珍しいわね…祐巳が時計を忘れるなんて」

不可抗力だったんですよ…なんて云えないから、祐巳はただ笑った。

そんな祐巳に、祥子さまは何も云わずに微笑む。
でも…なんだろう。
その笑顔が、何処か遠い感じがしたのは。

「…お姉さま?」

思わず、声を掛けてしまって、次に何を云おうかと考えていると、祥子さまが祐巳のリボンに手を掛けた。

「曲がっているわ」

そう云いながら、祐巳のリボンを直して下さる。

途端。
祐巳の中で、急に寂しさがブワッと大きくなった。

触れられている髪が、リボンが、どうしていいのか解らないくらいに。

「…祐巳?」

俯き加減の祐巳に、祥子さまが首をかしげる。
駄目よ、と。
顔を上げてくれなきゃ上手く直せないわ、と…

祥子さまは、お姉さまだから。
祐巳のただ一人の、お姉さまだから。

卒業されたら、姉妹の関係も消えてしまう訳じゃない。
それは聖さまや蓉子さま、江利子さまを見ていれば解る。
解る、けど。

聖さまの事を考えると心に広がる愛しさや切ない気持ち。
それとは違うものを、祥子さまには感じる。

これが『姉妹』の絆なのかもしれない。

恋情や、愛情とは違う…だけど、かけがえのない、気持ち。


でも、その気持ちは愛や恋にはならないから。










「…祐巳ちゃん?」

ドアフォンを鳴らすと、聖さまはすぐに扉を開いた。
祐巳の声がおかしかったのに、きっと気付いたんだろう。
聖さまは、祐巳の変化に敏感な方だから。

「入って」

聖さまの声に促されるように祐巳は玄関に入る。
でも、祐巳は聖さまのシャツの端を握って、動けなくなっていた。

「…どうしたの」

聖さまの、優しい声が祐巳に掛けられる。
きっと、聖さまには祐巳に何かがあった事はお見通し。
ここで『なんでもない』とか云ったって信じてなんかもらえない。
それより「私はそんなに頼りない?」とか云われてしまいそう。

そんな事ない。
全然。
でも…何をどう云っていいのかが解らなくて…ただ聖さまのシャツを握ることしか出来ない。

聖さまはそんな祐巳に微笑みを掛けた。
そして、ゆっくりと祐巳を抱きしめた。









言葉は、生まれるもの
伝えなければならないものだ
声は、言葉を綴る
そうでなければ、ただの音の音に過ぎない


ぼんやりと、そんな事を考えながら、見るとはなしに雑誌のページを繰る。


いや、そうとも限らないか。
声にしない言葉や出来ない言葉もあるし、全てを伝えてしまったらいけない言葉だってあるだろう。


冷たくなってしまったコーヒーを飲みながら思う。

現に、今は言葉なんていらない。
こんな風に過ごすだけでいい。

隣には愛おしい人。
その温もりを肩にかんじられていれば、それで。

泣き疲れて眠ってしまっている、愛おしい人の手首には、腕時計。
カチカチと刻む秒針。
自分の手首にも。
つい最近まで愛おしい人の手で時を刻んでいたそればは、今は私の手に。


何があったかは聞かない。
聞きたいけれど…聞かない。

自分の元に来て、泣いてくれるんだから。
安心したように眠ってくれるんだから。
…拷問に、近いんだけどね。

フッと笑う。
苦さを少し含んでしまうけれど。

もし話してくれるなら、受け止める覚悟くらいはとっくに出来ている。
だから大丈夫。
安心していいよ。



祐巳ちゃんが目を覚ましたら…とびきり美味しいココアをいれてあげよう。
砂糖もミルクもたっぷりの。


そして、同じ時間を刻もう。




20050623

posted by 松島深冬 at 09:56| ☁| Comment(4) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月22日

いつもより、ちょっとだけ〜キャンドルナイト【後】

「夏至の、八時から十時の二時間をろうそくの明かりで過ごしましょ、ってヤツなんだって」


祐巳は一度家に帰って、お母さんに聖さまのお部屋に伺う事を告げて、きちんと了解を得て来た。
キャンドルナイトの話をすると、お母さんは目を輝かせていた。

そして買物をすると云っていた聖さまと六時半にM駅で待ち合わせして。
ふたり歩いてお部屋に向かう途中でソレを聞いた。
乃梨子ちゃんに聞いたのと、ほぼ同じ内容に祐巳は、ふむ、と思う。

「この数日、ラジオで云ってたのよ。結構いろんな処でイベントみたいなのがあるみたい。キャンドルの明かりの中でクラシックギターのライブ、とか」

他にもゴスペルのミニライブとか…と聖さまは指折り数えながら祐巳に教えてくれる。
その様子がなんだか楽しそうで、そんな聖さまがなんだかちょっぴり『可愛いな』なんて思ってしまう。

それが顔に出てしまったのか、ふ…っ、と、聖さまが口を噤んだ。
そして、ふぃ、と祐巳から目を逸らしてしまった。

あれれ。

「聖、さま?」

名を呼んでも、こちらを向いてくれない。
一歩先を歩くようにしながら、聖さまは前を見ている。

いつもなら解らない聖さまの表情が、何故だろう…解ってしまう感じがする。
ほんの少し紅い頬に、聖さまが『失敗したな』みたいな事を思っているような気がして。

どうしよう。
凄く、可愛い。

祐巳は周囲に人が居ないのを良い事に、ジーンズのポケットに手を入れて歩いている聖さまの腕にしがみついた。





 †





「う、わぁ…」


お部屋に入って、第一声。
キッチンのテーブルの上には、キャンドルが置いてあって。

まるで、レストランとかにあるような…ちょっと大きめなグラスの中に、綺麗な紅いゼリーのようなろうそくが。

聖さまは、そのキャンドルにちょっと長めのマッチで火をつけた。
まだまだ部屋の中は明るいけれど、そこだけ、ポワ…といい感じ。

「あれ…?」

キャンドルの火が、ゆらゆらと揺れている。
ゼリーみたいだと思ったそれは液体だったみたいで。

「カラーオイルが入ってるんだよ」

聖さまが微笑みながら云う。
そして、ベランダへと歩いていくと、シャーッという音を立てて、カーテンを閉じた。

すると、部屋の中を闇が包む。
けれど、祐巳の側のテーブルの上だけがほんわりとした優しい明かりがあった。

ソファの前のミニテーブルの上とか、置いてあったキャンドルにも、聖さまが明かりを燈していく。
部屋の中が、オレンジ色に照らされて、なんだかよく知っている部屋なのに、ちょっとドキドキしてしまう。

「どう?」

聖さまが、その柔らかな明かりの中で、微笑んだ。

「…綺麗です」
「うん。キャンドルの明かりって、柔らかくて綺麗だよね」

聖さまが笑みを深めながら祐巳の側に来る。

…違う。
祐巳はそういう意味で云ったんじゃない。

ううん、確かにキャンドルの明かりは綺麗。
とても優しい感じがする。

でも…そうじゃなくて。

オレンジ色の柔らかな光が、聖さまを照らす。
いつも綺麗なこの人が、なんとも云えない柔らかさで、綺麗。

なんだか、泣きそうになっている自分に、祐巳はちょっとだけ、俯いた。








「…どうしたの?」

さっきから様子がおかしいよ、と聖さまが祐巳の髪に触れてきた。

「気分でも、悪い?ああ…匂いにやられちゃった?こういうのって、解る人には解っちゃうし。苦手な人もいるから」
「いえ…違います」

そう、違う。
でも、なんて云っていいか解らない。

聖さまに、落ち着かない…なんて。

そんな事は、云えないから。
絶対。


「…匂い、は別に…なんていうか…そう、雰囲気に酔っちゃった感じで…」

しどろもどろに祐巳に聖さまが困ったような顔をする。

「なんだか、こんな風にするの、初めてで…綺麗で…それで…」
「それで、泣きそうな顔をしているの?」

困った。
どんな風に云っても、おかしな方に行ってしまう感じがする。
どうしたらいいものか…と考えあぐねていると、どさ、とソファに腰を下ろして祐巳を見上げた。

…そんなちょっとの事でも、なんだか心が騒いでしまう。

「もしかして、祐巳ちゃんも私と同じなのかな」
「…え?」

困ったような、微笑みを浮かべて聖さまが祐巳の手を引いて隣に座るようにする。
手を引かれるままにソファに腰をおろすと、聖さまはそのまま手を握ったままでいる。

お、落ち着かないんですけど…更に。

「私、さっきからずっと祐巳ちゃんにドキドキしてるんだよね」

まっすぐに、祐巳を見て云う。
どうしてそんなにまっすぐに見て云えるんだろう…
祐巳なら、絶対無理。
だって、聖さまの顔を見ながらそんな事、云えない。
聖さまの目に見つめられながら、そんな事を云うなんて…心臓が毀れてしまうに違いない。

ゆらゆら、と揺れるキャンドルの明かりが、聖さまの瞳の光を揺らしていて…ちょっと不安そうに見えた。

「雰囲気も抜群だしね…最高のシチュエイションだと思わない?」
「シチュエイション…?」
「うん…思わず、流されてしまおうか…なんてね」

そう云いながら、聖さまの顔が近付いてきた。

ああ…綺麗な人だな…なんて、思わず祐巳は見惚れてしまう。

軽く、唇が触れて…聖さまが離れていく。
ほんの少し、紅い頬。

なんだか…いつもの聖さまと違う…?

いや、それはさっきから思っているように、キャンドルの明かりが柔らかく聖さまを照らしていて…いつもと違う。
でも、それとは違う『何か』を今は感じる。
艶っぽいって云うんだろうか…

…違う。
『艶めかしい』かもしれない。

そう思った瞬間。

ボンッ!と祐巳の顔が真っ赤になるのを感じた。
顔が…頬が、熱い。

そんな祐巳を見て、聖さまがプッ、と吹き出した。

「なぁに?祐巳ちゃんってば、何考えたのかなー?」

云いながら、聖さまは祐巳をギューッてしてきた。
クスクスと笑いながら、いつもみたいに抱きしめてくる。

「祐巳ちゃんは可愛いなぁもう!」

ポンポンと背中を軽く、まるで小さな子供をあやすみたいに叩いて、そしてまたキュ、と抱きしめた。



祐巳は、そんな聖さまにいつものように怒る事が出来なくて。
目をギュッと閉じて、聖さまのシャツのひじの部分を握っていた。

…なんだか…『いつもの』聖さまと違ったから。
いつもより、ちょっとだけ…体温が高くて。
いつもより、ちょっとだけ…腕の力が強くて。


いつもより、ちょっとだけ…震えていたから。




20050622



『キャンドルナイト』の事を知ったのはいつも聞いているFMでです。
夏至の八時から十時まで…との事で、北海道でも時計台やテレビ塔の明かりが落とされると云ってました。
そしていろんなイベントもあるそうで。
そんな事聞いてたら、ついつい携帯にポチポチと前編を打ち込んでました(笑)

まあ前後に分けましたけど、独立した話として読めますな。

因みに。
この聖さまと祐巳ちゃんはまだライン越え前です。
このひと月後にライン越えですったもんだが(笑)
posted by 松島深冬 at 01:45| ☁| Comment(6) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月21日

キャンドルナイト【前編】



「え?今晩ですか?」
「そ。何も御用が無ければ、でいいからさ」

お昼休みにお弁当を手に薔薇の館にやってきたら、珍しく…ほんっとーに珍しく、聖さまが来ていて。
缶コーヒーを飲みながら祐巳に手を振ってきた。

そして、ちょっぴりイタズラッ子な顔で「今晩何か御用ある?無ければ私の部屋に来ない?」と云ってきた。









「キャンドルナイト?」

由乃さんが初めて聞いた、と云うように首を傾げる。

「あ…聞いた事あります。夏至の頃の夜、二時間くらい部屋の明かりを消して、ロウソクやアロマキャンドルを燈して過ごすっていうのですよね?」

そう云って、乃梨子ちゃんが卵焼きをパクリと口に入れた。

「元は海外の環境団体の呼び掛けが始まりとかで…そうする事で消費電力が何%減らせるとか…」
「へぇ…志摩子さんは知ってた?」

乃梨子ちゃんの言葉を聞いて、由乃さんは美味しそうに小芋を食べている志摩子さんに聞いた。
志摩子さんは口に入れたばかりの小芋を一生懸命もぐもぐして、お茶を一口飲んで、一息ついてから「そうね」と呟いた。
お芋は喉に詰まりやすいしね。

「私も今の乃梨子の説明を聞くまで、よくは知らなかったけれど…でも、お姉さまらしいと思うわ」

ふふ、と微笑む志摩子さんに由乃さんが不思議そうな顔をした。

「聖さまらしい?」
「ええ」

微笑んで志摩子が頷く。

そして祐巳を見て、「ね、祐巳さん」と小首を傾げた。
そんな志摩子さんに祐巳も「うん」と頷く。

聖さまという人は一見おちゃらけていたり、いつも冗談を云っているような人だけど、でもとてもシリアスで思慮深い人でもあるから。
そして、自然を大切にしている人。
当たり前の事だけど、その『当たり前』な事を、人はなかなか出来なかったりする。
聖さまは、それをさりげなく冗談を云って笑いながらする人だから。

「ふーん…?」

由乃さんが『解らない』と云う顔で腕組みした。

そして「私も、今晩やってみようかな…」と、ポツリと呟いた。

小さく語尾についた「令ちゃんと一緒に」という言葉に、祐巳は志摩子さんと顔を見合わせて、そっと微笑んだ。

「令ちゃんと」と呟いた時の由乃さんの表情が、可愛かった。





後編はam1時頃を予定。

posted by 松島深冬 at 19:30| ☁| Comment(2) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月19日

君を、想う。


まず。
この話はWHEN@さまの『天の川に願う』にインスパイアされまして、書いたSSSです。
まずは『天の川に願う』をお読みの上、こちらをお読み戴けたら、と思います。

ずっと、いつか書きたいと思っていた事が、やっと書く事が出来ました。
広園鈴菜さまに、多謝です。


では、どうぞ。





SSS
posted by 松島深冬 at 23:58| ☁| Comment(2) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月15日

キレイな愛じゃなくても


突発です。
SSSが書きたくなってしまいました。
でも聖さま欠乏してます。

ちなみにこれはamnesiaの後の話って事で。

そしてタイトルはB'zから(笑)
でも内容まったく関係ないかも…

では、どうぞ


SSS
posted by 松島深冬 at 08:30| ☀| Comment(4) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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