2007年03月27日

キモチモンダイ・2(後)

……なんとか、書けた…

なんていうか…ちょっと他所事に気を取られていて。
明日読み返したら削除したくなりそうな予感が。
もしそんな感じになったら加筆修正しますんで(泣)

もう少し気合入れなきゃな。

あ、漫画も描き出してますんで。
あと二ヶ月。
頑張ろう。



では、ドウゾ。


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「……で?祐巳ちゃんは『電動ドリルちゃん』に支えてもらいたいのかな?」


瞳子ちゃんに。
祐巳の『支え』に。

聖さまの優しい声にうつむいた。
祐巳が……ロザリオを受け取って欲しい人は、瞳子ちゃん。
正直、出逢った時はあまりいいイメージではなかったけど。
瞳子ちゃんの存在に不安になって祥子さまと仲違いしたこともあったけど。
いろんなことが、あったけど。

そのいろんなことを経て、瞳子ちゃんを見ていて。
その上で、瞳子ちゃんを妹に望んだ。
今の祐巳には、瞳子ちゃん以外には考えられない。
……でも。

「支えてくれなくても、いいんです」

聖さまの目を見て、改めて云う。
さっき、瞳子ちゃんに云った言葉を口にした。

「私は、瞳子ちゃんが瞳子ちゃんであればいい……そう思うんです」
「あの子があの子であれば?」
「はい。そりゃもちろん妹になって欲しいって今も思ってますけど」

蓉子さまは『妹は支え』と、選挙の時に祐巳におっしゃった。
祐巳も、祥子さまの支えになりたいと思った。
今だってそれは変わらない。

でも。
瞳子ちゃんが、瞳子ちゃんのままで祐巳のそばにいてくれたらいい……それがいい。それでいい。
そんな風に祐巳は思っていた。

「……私のお姉さまも、今の祐巳ちゃんみたいに云ってたよ」
「え?」

聖さまのお姉さま……先々代の白薔薇さまが?
祐巳は一体どんな顔をしたんだろう……聖さまはクスクス笑うとワシャワシャと頭を撫でる。
まだバスに乗らなきゃいけないのに……と思いつつ、聖さまの何気ないスキンシップが1年の今頃を思い出す。
なんだか、ほんのちょっぴり嬉しくて、髪が乱れることなんかどうでも良くなってしまう。

「私のお姉さまは『あなたの顔が好きだから、その顔を見ていたいから、側にいなさい』って云った人で…って、もちろんそれは私の気持ちを楽にするための方便だったんだって、今は解ってるけどね」
「顔…」

確かに聖さまは本当にずっと見ていたいって思うほどに綺麗な人だけど……それをホントに云っちゃう聖さまのお姉さまって一体……

「お姉さまは私の扱いを心得た人だったから……私が私のままで側にいればいいって云ってくれてた」
「聖さまが、聖さまのまま?」

懐かしい…ちょっぴり『痛み』を含んだような目をして微笑んだ。

聖さまのお姉さま……
きっとそばでずっと見ていたんだろう……栞さんと出逢った聖さまをずっと見守っていたんだろう……
聖さまを大切にしていた聖さまのお姉さまを、ちょっぴり羨ましく思ってしまう。
側にいて、守っていて、聖さまに慕われている、聖さまのお姉さまが。

「そう。妹を作らない私に『そんなのはどうにでもなる』って云い切って笑ってた。きっと、他の薔薇さま方やクラスメイトにだって何か云われていただろうはずなのに……そんな事みじんも見せなかった。ただ、私が後悔しないようにって……それだけ」

そうか……
今の祐巳と同じ立場だったんだと、今更気付いた。

志摩子さんには乃梨子ちゃんっていう妹がいて、由乃さんにも菜々ちゃんっていう妹候補がいて。
聖さまの時は、蓉子さまには祥子さまっていう妹が、江利子さまには令さまという妹がいた。

ビシバシと感じる強いプレッシャーは無いにしても、やはり『薔薇さまの妹の妹』……『次期薔薇さまに妹』の行方は周りの人には気になる事なのかもしれない。
その中で、聖さまのお姉さまは聖さまを守っていたのかもしれない……なんて。

……ふと、祐巳は思った。

聖さまのお姉さまのように、祥子さまのように、祐巳は瞳子ちゃんを守れるのだろうか……

……ううん。
『守る』なんてのはおこがましいのかもしれない。
でも、祐巳は瞳子ちゃんに笑っていてほしい。
さっきみたいな、周りは皆敵みたいな……くちびるを一文字に結んだような表情ではなく、ステキに微笑んで欲しい。

出来るなら、祐巳の側で。





「……大人になっちゃって」
「え?」

ぽつりと、呟かれた聖さまの言葉が聞き取れなくて目を瞬かせた。
なんだか、聞き慣れない言葉を聞いたような……?

「いや、なんでもないですよん」
「聖さま?」
「相変わらず百面相だねって云ったの。もうさっきから面白いくらいに表情変えてたよ?」

つんつん、と祐巳のほっぺたを突いてから聖さまはコーンスープが入っていた缶を手から取って、ベンチを立ち上がる。
その途端に冷たい風が祐巳の髪をなびかせた。

缶を空き缶入れに入れにいく聖さまに、さっき不思議に感じたことの答えが解った。
聖さまが座ったときに暖かさを感じたのは、聖さまが風上に座ったから。
ご自分が風除けになって下さったって事。

マリア様の前での祐巳と瞳子ちゃんの雰囲気がおかしな事に、遠目に見て……ここに連れてきて、話を聞いて下さって。
そして、祐巳に気付かせて下さって。

聖さまは、優しい。
初めて山百合会に行ったときから、さりげなく。

ベンチに戻ってきた聖さまの、風が当たっていた頬にそっと手を伸ばした。
ひんやりと、冷たい。

「祐巳ちゃん?」
「…手、暖かいですか?」

祐巳の手に、ご自分の手を重ねる。
少し伏せたまぶたに、まつげの長さが際立つ。
本当に、綺麗な人だと改めて思う。
聖さまのお姉さまが云った言葉はそのまま真実だったんだろうなって思う。
ずっと見ていたくなる……そんな人だ。

「…まいったな」

聖さまが苦笑を漏らしてから呟いた。
祐巳は一瞬何が何やら解らなくて。
きっとキョトンとした顔をしてしまったんだろう……聖さまの笑みが深くなる。

「理屈じゃないからね」

頬に当てていた手を離すと、聖さまは祐巳の手のひらにくちびるを当てた。

「せ、聖さまっ」
「姉妹は特別……解っていたって、姉や妹に嫉妬しちゃうよ」

きゅ、と祐巳の手を握って云う。
そのまま手を引かれて立ち上がりながら、うーん、と唸りたくなってしまった。

「…それは、おあいこかと……」

聖さまが、祐巳の目を見ながら目を丸くした。


だって、祐巳だって嫉妬しちゃいますよ?
理屈じゃないと云ったのは聖さまじゃないですか。




20070327
posted by 松島深冬 at 02:17| ☀| Comment(2) | マリア様がみてる SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。あゆむと言います。以前からこちらの作品を拝読させてもらってます。聖祐巳が大好きな私にはここは天国!です。これからも楽しみにしてます。
Posted by あゆむ at 2007年03月27日 11:29
こんばんは。
 くーっ! 聖さまカッコイイ!! さりげない気遣いがいいなあ、と。
 復活なさって嬉しいです。オフの方も楽しみにしています。
Posted by 広園鈴菜 at 2007年03月28日 00:12
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